呼吸器内科 研修プログラム

呼吸器内科は、「急性疾患から慢性疾患まで、良性疾患から悪性疾患まで」幅広い疾患をカバーしており、専門領域のみならず全身を診る診療科です。身体所見や血液検査、画像検査などから原因・病態生理を推察するとともに、外科を含めた各部門の専門医に相談しながら一人の患者さんを包括的に診療するという「指揮者的な度量」も要求されます。初期臨床研修2年間と後期臨床研修3年間で内科一般臨床を経験しながら、専門医のできるだけ早い取得へ向けて研修を開始します。したがって、卒後3年目で入局と同時に、日本呼吸器学会への入会も勧めています。当科は香川県下に研修関連病院も多く、当科出身の専門医、指導医との連携も緊密です。したがって、それぞれの医師の未来設計に合わせて働く病院を選んで頂けると思います。また、研究を志す先生にも入局と同時に大学院への入学が可能であり、希望があれば国内外留学も提案していきます。

初期臨床研修プログラム:患者を5名程度担当しつつ以下の目標を達成する
  1. 経験すべき診察法・検査・手技
    1. 胸部診察とその記載法
    2. 動脈血液ガス分析
    3. 呼吸機能検査
    4. 胸部単純X線、X線CT検査
  2. 経験すべき症状
    1. 呼吸困難
    2. 胸痛
  3. 経験すべき疾患
    1. 呼吸不全
    2. 呼吸器感染症(急性上気道炎、気管支炎、肺炎)
    3. 閉塞性・拘束性肺疾患(気管支喘息、COPD、間質性肺炎)
    4. 肺循環障害(肺塞栓・肺梗塞)
    5. 胸膜、縦隔、横隔膜疾患(自然気胸、胸膜炎)
    6. 肺癌
  4. 到達目標
    1. 呼吸器感染症の起炎菌を理解し,そのX線所見,臨床所見より正しく診断し,適切な抗菌薬を選択し治療できる。特に肺結核においては,その疫学,臨床像を正しく理解し,正確に診断するとともに,適切な抗結核薬により治療できる。
    2. 免疫抑制患者における呼吸器合併症の臨床像を理解し,正しく鑑別診断するとともに適切に対処しうる。
    3. 気管支喘息の病態生理を理解し,発作時の治療法,慢性期の管理,吸入療法及びピークフローメーターを用いた管理など行える。
    4. 各種呼吸器治療薬(鎮咳剤、去疾剤、気管支拡張剤、抗菌薬など)を正しく理解し,使用することができる。
    5. 在宅酸素療法の適応を理解し,実際に導入することができる。
    6. 原発性肺癌の診断と治療方針の決定を行い,かつ固形腫瘍の化学療法の考え方を理解した上で内科的治療を行うことができる。
    7. 間質性肺炎の病態生理を理解し,その診断と治療方針の決定を行いうる。
    8. べッドサイドで必要な胸腔穿刺,胸腔ドレナージなどの手技を学ぶ。気管支内視鏡の目的と適応を理解する。
後期臨床研修プログラム:患者を10名程度担当しつつ以下の目標を達成する
  1. 経験すべき診察法・検査・手技
    1. 気管支内視鏡手技の習得(気管支肺胞洗浄、肺生検、超音波ガイド下生検等)
    2. 経胸壁肺生検
    3. 胸腔ドレナージ挿入と胸膜癒着法
    4. 人工呼吸器、NIPPV 管理法
    5. 胸膜生検法
  2. 経験すべき症状
    1. 大量喀血
    2. 胸水
    3. CO2ナルコーシスに伴う昏睡
  3. 経験すべき疾患
    1. 喘息重積発作
    2. 胸膜・縦隔腫瘍(悪性胸膜中皮腫・胸腺腫等)
    3. 稀な間質性肺疾患(LIP, DIP, RB-ILD 等)
    4. 膠原病肺
    5. 薬剤性肺炎
    6. 頻度の低い感染症(ウイルス、真菌等による)
    7. 肺癌に伴う腫瘍随伴症候群
  4. 到達目標
    1. 各種の気管支内視鏡手技を習得し、適切な検体の採取と評価ができる。
    2. 超音波およびCT ガイド下肺生検の適応とそのリスクについて理解する。
    3. 大量喀血時に適切な検査を行い、止血治療を行うことができる。
    4. 大量胸水に対してトロッカーカテーテルを挿入し、ドレナージできる。また、胸膜癒着術の方法を理解し、実施することができる。
    5. 喘息重積発作およびCOPD増悪時の治療法を理解し、速やかに実施できる。
    6. 間質性肺炎の臨床・病理学的な国際分類を理解し、外科的肺生検の適応について述べることができる。
    7. 膠原病肺や薬剤性肺炎の臨床所見、画像所見の特徴を理解し、鑑別診断できる。
    8. 頻度の低い微生物による呼吸器感染症の特徴を知り、検査・治療を実施できる。
    9. 肺癌に伴う腫瘍随伴症候群の種類を知り、治療することができる。
    10. 地域の医療機関との連携を図り、円滑な診療を行うことができる。
    11. 肺癌の臨床試験の意義を理解し、適切な症例をエントリーすることができる。
    12. 症例報告等の論文作成や学会発表ができる。
初期、後期研修医共通の週間予定

月曜日:合同カンファレンス(呼吸器外科、放射線診断科、放射線治療科、病理部参加)
火曜日:症例検討会、総回診、気管支内視鏡検査
水曜日:抄読会、リサーチカンファレンス
月、火、水、金:胸部画像読影ミニレクチャー

専門研修に関するお問い合わせ

香川大学医学部附属病院 呼吸器内科・石井知也
〒761-0793 香川県木田郡三木町大字池戸1750-1
TEL:087-891-2145 FAX:087-891-2147
E-mail:tishii@med.kagawa-u.ac.jp